人気ブログランキング |

(16)六ポケット家族 その4

第二章 六ポケット誕生会


     1


 箱根旅行から帰って来た翌日も朝から良い天気だった。午後二時になると、雅之たちは家の庭に子供用ビニールプールを置いて、隼人を遊ばせることにした。水道水は少し冷たいので、やかんにお湯を沸かして適度な水温にした。

 隼人は、まだ歩けないので、雅之が抱っこしてプールの中に入れた。最初は怖がっているようだったが、プールの中を這いずり始めると、奇声を発して喜んでいた。その様子を雅之はカメラに撮り、源一郎はスマホで動画を撮っていた。そして和子と夕子は隼人のそばに行って、隼人がはしゃぎ過ぎて、ひっくりかえらぬよう見守っていた。

 というように、今年の夏は保育園が休みの日に、隼人をプールに入れたことが五回くらいあった。その度に雅之が写真を、源一郎が動画を撮っていた。


 暑い夏が過ぎて十月になると、隼人は壁につかまりながら立ち歩きするようになってきた。そして食事も大人と同じようなものを食べるようになり、身長も伸び、体重も増えてきた。良く食べ、良く遊び、良く寝るので典型的な幼児タイプのお腹をしていた。

 また、十一月に保育園で風邪が流行ってくると、熱を出して保育園を休む日が三回くらいあったが、いずれも長引かずに済んだ。雅之たちは、隼人が三度の食事をきちんと食べているからだと思っていた。

 そういえば雅之は、ネットで腸内フローラについて検索してみたら、赤ちゃんといえども生後七日間で、善玉菌と悪玉菌が腸内に住み込み、善玉菌が体に有益な仕事をしていることを知った。すでに隼人には、自然治癒力が備わっているのだと雅之は思い、ネットでいろんなことが調べられるのは本当に助かると思った。


    2


 隼人の一歳の誕生日を迎えた十二月十日(水曜日)は、保育園で誕生会をやってもらった。そして六ポケットによる隼人の記念写真撮影、および誕生会は十三日(土曜日)に行うことにした。

 十三日は朝から晴れており、十時を過ぎたところで雅之と夕子、隼人、そして源一郎と和子は雅之の車に乗って、成瀬駅の近くにある子供写真館に向かった。福山夫妻も車に乗って、十時十五分に子供写真館に来ることになっている。雅之たちが子供写真館の前に着くと、すでに福山夫妻が来て待っていた。雅之と正は子供写真館専用の駐車場に車を停めた。車を降りた雅之たちは、お互いに挨拶を交わして、ビルの二階にある子供写真館に入って行った。

 雅之たちは今日一番目の予約客だったらしく、広いスタジオの中は写真を撮る女性が二人いるだけだった。初めて子供写真館に来た源一郎と和子、そして福山夫妻は、たくさんの子供用衣服が揃えてあるのには、びっくりして見ていた。雅之と夕子が店員と相談している間、源一郎と和子、そして福山夫妻は隼人の子守をしていた。

 やがて撮影の準備ができると、隼人は店員に抱えられて飾り付けがある撮影場所に座らされた。二人の店員は隼人をあやしながら、写真を撮るタイミングを計っていた。時折隼人が人見知りをして泣きそうになると、二人の店員はおもちゃを振ったり、笑顔を隼人に向けたりして、上手に写真を撮っていた。

 それから暖房はしてあるものの、店員が隼人を上半身裸にし、子供用のまわしを着けて飾り付けの場所に座らせた時は、さすがに雅之たちは驚いた様子で隼人を見ていた。隼人はようやく歩けるようになっていたが、この日ばかりは店員の巧みな誘導に上手くのってくれたようだ。その様子を雅之はカメラで、源一郎はスマホで動画を撮っていた。

 こうして三回、衣装を変えて写真を撮り終ると、店員の案内で雅之たちは椅子に腰掛けて、パソコンに写っている写真を見ることになった。ひと通り写真を見終わると、みんなは相談の上、気に入った写真を購入した。店員の説明では約十日後に郵送するということだった。雅之が支払いを済ませ、二台の車に乗って自宅に戻って来た。


 家に着くと、みんな二階のダイニングに上がり、テーブルの椅子に腰掛けた。雅之は隼人をベビーチェアに座らせ、夕子と利律子がテーブルに赤飯やハンバーガー、肉野菜炒めなどの料理を並べた。雅之の挨拶で隼人の一歳の誕生日を祝い、昼食会が始まった。雅之たちは暖かい緑茶やウーロン茶を飲みながら赤飯を食べたり、隼人の子供写真館での出来事などを話したりしていた。

 隼人もベビーチェアに座ったまま、夕子があげる赤飯やハンバーガーを食べていた。そうこうしているうちに、隼人が眠くなってきたようなので、雅之は隼人を抱えてベッドルームに連れて行った。それから雅之がダイニングに戻ってくると、

「隼人が寝たので、もう少し食べましょうか」

 と言って、残っている赤飯を茶碗に盛った。その後、みんなで雑談していたが、時計が三時を回ったところで正が、

「今は暗くなるのが一番早いから、そろそろ帰ろうか」

 と言ったので夕子も、

「隼人が寝ている間に、帰ったほうがいいかもね」

 すると源一郎が、

「朝から子供写真館に行ったり、こうしてみんなで昼食会をしたりしていたら、俺も眠くなってきたな」

 と言ったものだから和子が、

「あら、あなた、ただ見ていただけなのに。福山さんは車を運転して来たのよ」

 今度は利律子が、

「正さんが車を運転したのは事実だけど、今日は八時頃まで寝ていたのよ。いつもは六時半に起きているのにね」

 と言った。三時半になったところで、雅之たちは外に出て福山夫妻を見送った。


     3


 クリスマスが過ぎ大晦日になると雅之、夕子、そして隼人は福山夫妻の家に、年末年始の休暇を利用して二日間泊まりに行った。

 年が明けて二〇一五年一月二日、雅之たちは新年の挨拶を兼ねて午後五時から夕食会を開くことにした。源一郎と和子は二階のダイニングに行き、雅之、夕子と新年の挨拶を交わした。源一郎はお年玉のプレゼントに、アンパンマンの携帯電話を隼人に渡したが、隼人は箱を開けることができないので、そのまま夕子に渡した。源一郎と和子が椅子に腰掛けると、雅之が隼人を抱っこしてベビーチェアに座らせた。みんな揃ったところで雅之が、

「新年おめでとうございます。隼人が生まれてから二回目のお正月です。少しは歩けるようになったので、今年は旅行に行っても楽しいことと思います」

 と言って、ビールを源一郎に注ぐと、夕子も和子にビールを注いだ。それから源一郎が雅之に、和子が夕子に、そして隼人には夕子がオレンジジュースをストロー付きのコップに入れた。そして雅之の乾杯の音頭で夕食会が始まった。みんなはおせち料理と配達してもらったお寿司、そしてスーパーで買って来た唐揚げやお刺身などを美味しく頂いた。おせち料理を少し食べたところで雅之が、

「隼人はもう何でも食べるし、今年の春はお花見に行ったり、あちこち公園に行ったりしたいと思っている」

 と言ったので源一郎が、

「そうだ。隼人君は歩けるようになったから、子供の日のプレゼントにはアンパンマンの三輪車がいいかな」

 すると夕子が、

「まあ、お義父さん、悪いわね。高いのに」

「いや、アマゾンの組み立て三輪車なら安いと思う」

 と言って、源一郎はお寿司を口にほおばった。それを見て和子もお寿司を一個食べてから言った。

「そう。お父さんはすっかりアマゾンのフアンになってしまったわ。毎月のようにDVDや電子書籍を買ったり、隼人のおもちゃを買ったりしているもの」

 今度は雅之もお寿司を口に運んでから、

「何と言ったって、お父さんがネットを使えるから、自分たちも何かと楽だと思う。そしてお母さんも、自分があげたタブレットを使っているし」

「そうね。タブレットのお陰でスーパーの情報も分かるし、TV番組やニュースも見られるし、言うことなしだわ」

 と言って、和子はビールを飲んでいた。というように、みんなは隼人を囲んで楽しく夕食を摂っていた。雅之が腕時計を見ると、七時を過ぎて いたので、

「そろそろ、お開きにしましょう。隼人をお風呂に入れないと」

 と言ったので和子が、

「そうね。私たちはこれで失礼するわ」

 続いて源一郎も、

「どうも。ご馳走さま。隼人君、バイバイ!」

 今度は夕子が、

「お義父さんとお義母さん、今夜はありがとう。隼人君、バイバイは?」

 それにつられて隼人も手を振ったので、源一郎と和子も手を振って一階に下りて行った。

 その5に続く。


by stone326 | 2018-02-05 09:13 | 物書きへの道


マカロニ・ウエスタンの歌詞とその魅力について


by stone326

プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る

このブログについて

本ブログはマカロニ・ウエスタンの映画の主題歌(日本語訳)を紹介します。

本ブログの歌詞は、株式会社IMAGICAエンタテイメント発売のDVDから使用しています。

本の紹介

FLNG船 二〇二二年


ご注文はこちらから


北極熊はどこへ行ったの(第一部)


ご注文はこちらから


勇と美穂のスマホ渡り鳥


ご注文はこちらから

ライフログ


マカロニ・オヤジとつぶやきの用心棒(一)


マカロニ・オヤジとつぶやきの用心棒(二)


ジュリアーノ・ジェンマ特集


フランコ・ネロ特集

カテゴリ

全体
物書きへの道
各駅停駅メロ小説
マカロニ・ウエスタンの歌詞
北極熊はどこへ行ったの
未分類

最新の記事

(57)朝日新聞出版 「マカ..
at 2018-05-13 09:44
(56)朝日新聞出版 マカロ..
at 2018-04-27 08:39
(31)「北極熊はどこへ行っ..
at 2018-02-25 08:25
(30)「北極熊はどこへ行っ..
at 2018-02-24 08:11
(29)「北極熊はどこへ行っ..
at 2018-02-23 08:37

以前の記事

2018年 05月
2018年 04月
2018年 02月
2018年 01月
2016年 12月
2016年 10月
2016年 09月
2016年 08月
2016年 07月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 01月
2015年 10月
2015年 03月
2015年 02月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 05月
2013年 12月
2013年 08月
2012年 11月

検索

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

映画
シニアライフ

画像一覧